復讐の華


「どうして?」


「俺なんかが、行けないだろ。今更どの面下げて行けって言うんだよ」


不躾な私の質問に声を荒らげる。その調子で、もっと感情を出せばいいのよ。


そんな建前じゃなくて、深くにある濁りのない思いを。


「彼女は伊織が来るのを待ってると思う」


何の関係もない第三者から言われる当たり障りのない綺麗事ほど苛立ってしまうものは無い。


誰もこの苦しみを取り除いてはくれないのに、余計なこと言わないでって、ずっと思っていた。


だけどこうやって聞く立場にあると、もしかしたら本当に善意でそう言ってくれている人も居たのかもしれないと思えた。