寝ぼけ眼で昨日までは無かった私の姿をジッと見て、機嫌悪そうに口にした。


「誰その女」


「転校生だって。美穂が連れて来た」


瞬が教えたそれに、途端に興味が失せたように立ち上がる。


「何でもいいけど面倒は起こすなよ」


屋上から出て行くために私の前を通り過ぎるとき、冷たい声でそう吐き捨てた。


もしかしたら一番厄介なのは伊織かもしれない。


「伊織には近付かない方がいいよ、女嫌いだから」


立ち去って行く後ろ姿を見ていた私に晟也が忠告する。


女嫌いか。確かに私を見る目は酷く冷たかった。


何が彼をそうさせたか知らないけど手当たり次第に嫌われるのは気分が良くないな。