体から力が抜けていく。背もたれに体を預けるのがやっとだった。
気付いてしまった。気付かれてしまった。
「会話の中だったから、無意識に男だと捉えていたけど…、もしかして華月のことなの…?」
何も言えない。まるで頭が回らない。
最大のピンチだというのに、力無く彼女の様子を窺うことしか出来なかった。
「そうなんだ…」
そしてその沈黙を肯定と捉えた美波はポツリと呟いた。
最早誤魔化しも間に合わない。
この学校の生徒に、私と飛鳥の関係を知られてしまった。
速く音を立てる心臓に、手はじっとりと汗ばんでいた。
「華月はどうして転校して来たの?まさか偶然じゃないでしょ?」



