「小谷沙耶はどうしてそんなことを?」
そう聞いておきながら、きっと彼女はその理由を分かっている。
「私が水憐と深く関わろうとしたから」
泥に沈んだ真実を探るように、私の目をじっと見る。
かつて抱いた疑惑が再び姿を現したとき、彼女の目は動揺に揺れた。
「待って、そしたらやっぱり飛鳥は…」
「認めたよ。小谷沙耶が、自分が仕組んだことだって。飛鳥は水憐を裏切っていなかったの」
突然明らかになった過去の真実に、声も出ないようだった。
誰も疑いもしなかった飛鳥の裏切りを目の前のこの人だけは不審に思っていた。
眉間にシワを寄せて深く考えているような様子は、あの時のことを思い出してでもいるのだろうか。
日記には美波なんて子は登場しなかったけど、仲良かったのかな。



