「何を聞きたいの?」
美波にはどこまで嘘が通じるか分からなかった。
何故か彼女に余計な嘘は逆効果に思えた。
「どうして小谷沙耶は居なくなったの?」
小谷沙耶が夜逃げのようにこの街から出ていったことは美波だって知っている筈だ。
そしてそれが全てではないと彼女は怪しんでいる。
「私を、嵌めようとしたから」
まだそのときの傷が残っているかのように、小さく吐き出した言葉に美波は私の顔をバッと見た。
「何かされたの?大丈夫?」
本気で心配してくれているように見える。彼女は一体何なんだ。私に近付いて、どうしたいんだろう。
「私は大丈夫。來たちが助けに来たから」



