真実が明るみに出る前に、唯一飛鳥に対しての小谷沙耶の悪事を疑っていた人。


彼女と関わることが計画の遂行にとって善となるか悪となるか分からない。


それでも、彼女が何を私と話したいのか。それを聞きたいという好奇心には勝てず、私は立ち上がっていた。


「いいよ、どこに行く?」


誰が聞いているか分からない教室では話せない。


「付いてきて」


彼女も同じ気持ちだったのか、予め考えていたように歩き出した。


水憐の姫が1人の女に連れられて歩く図は、昼休みに廊下に出ていた生徒の注目を集めた。


そんなことなど気にしていないような彼女が止まったのはLL教室だった。


授業がないときでも開いていることを知っていたのか、当たり前のように中に入って行く。