「私、こんなふうに話を肯定してもらえたのって初めてかもしれないです」
いつもオカルト研究に興味があると告げると、大抵の男は引くそうだ。
「まあ、僕も似たような研究をしてますし」
「藤堂さん、お仕事はなにを?」
「とあるラボで研究員として働いています。キメラを研究してるんですよ」
「わあ、すごい!詳しく教えてください!」
雪村は前のめりになって、目を輝かせている。
「女の子に聞かせる話ではないですけど」と断りをいれたうえで、人間の遺伝子と動物の遺伝子を組み合わせたキメラ実験の話を生々しく話してやった。
人と動物のハイブリッド。ウサギの卵子に人の細胞を注入したことや人の肝臓を持つマウスがいるということを教えても、雪村は怯えるどころか熱心に聞いていた。
やっと分かり合える人ができたと思ったのか、雪村の酒のペースはぐんぐん上がり、最終的にはチェリーブロッサムを7杯も胃に入れていた。



