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その日は、なるたけ亜雁くんと目を合わせないように気をつけた。
普段から目が合うことはないし、ましてや声をかけられることも喋ることもないんだけど、それでも重々気をつけて。
「じゃあまたねっ、千雨」
「うん、ばいばい」
バイトがあるからと、今日はいつもより早めに帰った璃乃。
そしてそして、私はというと、いつも通り完全下校時刻になるまで学校に居座り続ける。
その間は、図書室に行って本を読んだり、教室で寝て暇を潰したり。
今回は前者。
図書室に用があったから、用を済ませたら完全下校時間まで居座るつもりだったの
……だけど、
「ねえ、アレやばくない?」
「え?どれどれ?」
「ほら、校門のところにいるヤツら。あれ絶対不良だよね?」
「うっわ、ほんとだ。はやく帰ろ、こわいし」
近くにいた女の子たちの会話に、こっそりと窓の方を覗き見た
……瞬間、目を見開いた。



