「大体……恋愛に本気になれないなんて人生損してるよね、宮城」


こんな挑発返しに宮城が乗るなんて思えなかったけど。

だけど、なんかこのままじゃ腹の虫が収まらなくて。


またどうせ馬鹿にする言葉が返ってくるんだろうなって思ってた。

「負け犬の遠吠えか」みたいな、人を小ばかにする発言が返ってくるに決まってるって。



だけど――――……



そのあたしの予想は外れる。

……最悪な方向に、外れる。



あたしの挑発に、宮城は珍しく少しだけ眉を潜めて感情を表した。


「……損? その言い分は納得がいかないな。俺は一番合理的な道を選択してるハズだ」

「合理的とか考えてるから恋が出来ないんだよ、きっと。

好きな人がいるだけで……あたしは学校生活が何倍も楽しくなるもん。

ただの通学路だって、好きな人に会えるかもって思うだけでドキドキして楽しいし……

学校帰りのデートだって、今までの人生の中で一番楽しかったもん」


……たった1度しかしなかったけど。


「……」


黙って前を向いてしまった宮城に、なんだか熱弁してしまった自分が恥ずかしくなる。

こんな冷たい奴に何言っても無駄なんだった。

何熱くなってんだろう、あたし……本当バカみたい。


先輩に振られた事も手伝って1人反省を始めたあたしに、しばらく黙っていた宮城が視線を向ける。

それに気付いたあたしが、視線だけチラッと隣に移すと……


「確かに里咲の言う事も一理あるのかもしれない。

本当に恋愛感情を持っただけでそんなに生活が激変するなら、俺は損してるのかもしれないな」


予想外の言葉に、あたしは表情をしかめた。


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