「ねえ、詩音。まだ成宮さんのこと、好き?」
そんな時、それまでずっと沈黙を続けてきた南が唐突にそう言った。私は驚き、隣にいる彼女に目を向けると、その顔は真剣で言葉に詰まった。
今は、この感情をどう表したらいいか分からない。一瞬俯いて悩みながらも、苦笑いを浮かべる。
「分からないんだよね....。」
私の正直な気持ち。
南はいつもどこか鋭く、彼女の顔を見た瞬間、全て見透かされているような気がしてしまう。
「じゃあ、高瀬さんのことは?」
「祐一のことは、もちろん好き。結婚したいと思う気持ちは変わってないし、成宮さんとも元に戻りたいなんて思ってないの。」
「でも、気になってるんでしょ?」
「.....うん。なんか、ほら。別れ方が特殊だったから。久しぶりに会ったら、付き合ってた頃に引き戻されたような気になっちゃって。」
実際、この3年という月日で、祐一との思い出が増える一方、彼とのことはだんだんと記憶から薄れていた。
でもあの日、彼と再会した瞬間、昨日のことのように一瞬で記憶が蘇ってきてしまった。それは、私の記憶の中に彼の存在が鮮明に残っていた証拠だった。
私は、そのことに自分でも気付いていなくて、自分自身戸惑ってもいた。

