「ちなみにさ、私たちも大して深いことは知らないんだけど。成宮さんとはいつから?入社した時にはもう付き合ってたよね?」
「ああ、うん。」
私は届いたビールに口をつけ、深く息を吐くと、順を追って思い出しながら話し出した。付き合った当時の話から、ロンドンに行き私たちが別れたところまで。
今まで、このことを知っていたのは須崎くんだけ。初めて聞く話に、終始三人は驚いていた。
「え、じゃあ、成宮さん、四年も付き合ってたのに、何も言わずにいなくなったんですか?」
話し終えた後の第一声は、紗和ちゃんの言葉だった。私は、無性に感傷に浸ってしまい、なんだか返す言葉が見つからず。ハハッと空笑いを浮かべ、頷くことしかできなかった。
そんな中、いつになく真面目な表情を見せたひな子。
「そんで?成宮さんとはちゃんと話したの?今、同じとこで働いてるんでしょ。」
ふざけてばかりのいつものひな子はおらず、一瞬驚かされた。
「うん、話した。この前呼び出されて、昔よく飲んでたバーで。」
「結婚することは、言った?」
「うん。婚約指輪つけて行ったし、向こうも気づいてた。」
ひな子の質問にそう答えていきながら、ふと何もつけていない左手の薬指を見つめる。
思わず、バーでのことを思い出してしまった。

