「えっ?蕪木さん、日曜のイベント参加するんですか!?」
二日後、会社に出社してきて早々、ホワイトボードに目を向けた紗和ちゃんが驚いたようにそう言った。
私はパソコンに向かって座りながら顔を上げると、彼女は自分のデスクに手をつき前のめりになっていた。そんな光景に一瞬驚きながらも、にっこりと笑って返す。
「うん。」
「なんでですか?だって、日曜日って!」
紗和ちゃんはそう言いかけた後、ハッとしたように周りを気にし出し、そっと私に近づいてきた。
「日曜日は、両家の顔合わせだからって言ってたじゃないですかっ!」
そして私のデスクの横に座り込むと、内緒話をするかのようにこそこそとそう言ってきた。私はふぅーっと息をはき、頬杖をつきながら呟いた。
「それ、なくなったの。」
顔合わせが延期になり、何もせず家にいることだけは避けたかった私は、翌日出社してすぐ、断っていたイベントへの参加を申し出た。
元々、イベントの司会を頼まれていたこともあり、課長からはすぐに許可がおりた。でも、司会はすでに紗和ちゃんと決まっていたから、私はその補佐役。それでも、何もしないよりはマシだった。
「嘘。なくなったって、なんでですか?」
「んー、それはまたあとで。」
私は苦笑いを浮かべ、またパソコンに向かう。納得いかない様子で自席へと戻っていく紗和ちゃんを目で追いながら、今は無心で仕事をすることにした。