愛を孕む~御曹司の迸る激情~


「この時間まで?もう3時だよ。」

「うん、何人か家まで送ってきたからね。」

 でも、何を言っても偽りなんてないような答えが返ってきて、私は思わず黙り込んだ。


 すると、黙る私を安心させるかのように頭を撫で、彼は言った。

「詩音が起きてたなら、酔っ払いなんてほっぽって帰ってくればよかったね。」

 優しい口調に、私は言い返すことなんてできなかった。


「ううん。そんな祐一は、私きっと好きになってないね。」

 私は彼からゆっくりと離れ、笑ってそう言った。もうどうでもいいと思った。勘ぐって、探りを入れるようなマネをして、こんなの卑怯だった。目の前の祐一の言葉を信じたいと思ったし、その言葉一つ一つに偽りなんて感じられなかったから。


 私は寝室に戻ろうと彼の手を離すと、逆に私の手を掴み引き留めた。

「詩音、なんか言いたいことあるんじゃない?」

 私はその言葉に、思わずドキッとした。

「どうして?」

 何も悪いことなんてしていないのに、その一言で心の内が見透かされたように感じた。