愛を孕む~御曹司の迸る激情~


 私は、ホテルに入っていく二人の後ろ姿を見つめながら思った。心から、幸せだと。


 思い返せば、私はずっと臆病だった。成宮さんに置いていかれた時も、祐一の浮気が分かった時も、相手を信じず想い続ける勇気もない。

 何かあるたびに諦めて、泣いて、現実から逃げてばかりいた。相手の本当の気持ちを知ろうともせず、自分が楽になる方しか選んでこなかったから。


 でももう違う、私は決めた。ちゃんと目の前の問題から逃げず、相手を信じることから始めようと。



ふと、亡くなった母の顔が思い浮かんだ。

「あれは、お母さんからのエールだったのかな。」

もう聞こえなくなったあの鐘の音を思い出しながら、式場の方へと目を向ける。そして笑みを浮かべ、私は一人そう呟いた。


「ママっ!!」

 ボーッとしていると、ホテルの入り口から私を呼ぶ声がした。振り返り、こちらを見ている二人を見て、自然と笑みが浮かぶ。

 私は祐一たちの元へと、足早に歩き出した。


 この光景を守りたい。

 そんな思いを胸に、未来への一歩を踏む。