「え?何?」
「あ、ううん。ごめん、なんでもないっ。」
私はそう言いながら、何かが吹っ切れたように気持ちがスッと軽くなっていた。
「ねえ、祐一?」
「ん?」
「私たち、やり直さない?」
すると、彼はとても驚いた顔をしていた。面食らったように目を見開き、じっとこちらを見つめてくる。
「まだ、私への気持ちはある?」
そして、黙ったままの彼を見ながら、そう付け加えた。
その時、突然体がグイッと引き寄せられた。
「俺でいいの....?」
頭で状況を理解する間もなく、耳元で聞こえてきた声。それから彼の心臓の鼓動を感じ、ギュッと抱きしめられていることに気づく。
私は、温もりに包まれながら頷いた。
「あの子ね、毎日寝る前に聞くの。明日はパパに会える?って。」
そして静かにそう言うと、祐一の体がピクッと反応する。私は、そのままゆっくりと彼から離れた。
「だから、もう裏切らないで。あの子を悲しませないで。もう一度だけ、信じるから.....」
そして、切にそう願う。
いつからか、琴音の幸せが私の幸せになっていた。親になると、優先順位は全て子供になると言うけれど、まさにその通り。
琴音が、幸せでいてくれればそれでいい。そうであれば、私も幸せだった。

