「琴音、疲れてたんだろうな。すぐ寝ちゃって。」
「よっぽど、あなたに会えたのが嬉しかったんだと思う。さっきも食べてたのか喋ってたのか、分からないくらいだったもん。」
近くのお店で食事をした帰りの車の中、後部座席でぐっすりと眠ってしまった琴音。さっきまで、見たこともないくらいに喜んでいた様子を思い出しながら、クスッと笑った。
「ホテル、ここだっけ。」
「あ、うん。ありがとう。」
それから、式場の近くまで戻ってきた私たち。ホテルの前に車を止めると、祐一は外に出ようと扉に手をかけた。
「ん?」
その瞬間、私は反射的に引き止めていた。
「詩音?」
自分でも、こんなに急に思い立つとは思っていなかった。それは、彼との未来のこと....
不思議そうに振り返る彼と目を合わせながら、私は大きく息を吸った。私の中で、もう覚悟はできていた。
すると、その時。
ーーゴーンゴーン
なぜか式場の方から聞こえてきた鐘の音。こんな夜に鳴るはずもないのに、突然だった。
「ん?なんだろ、イタズラかな?」
そんな中、祐一は不思議そうに式場の方を見る。でも、私はなぜか笑いがこみ上げてきた。
訳もなく鳴ったこの鐘が無性に気になり、このタイミングで鳴ったことに意味でもあるかように思えた。

