「詩音は?このままホテル戻るの?」
「あ、うん。」
結婚式を終えて外に出ると、辺りはもう暗くなっていた。
私は隣りでぴょんぴょん飛び跳ねているおてんば娘に振り回されながら、ひな子たちと共に外の階段を降りていく。
その時。右手が静かになったかと思うと、突然手の中にあったはずの小さな手が、するりと抜けていったのが分かった。
「あ、琴音!」
気づくと、目の前を走っていく娘の姿が見え、慌ててそう叫ぶ。そして追いかけようとした瞬間、その先にいた人物を見て足が止まった。
「パパっ!」
冷や汗をかいていた私とは裏腹に、そんな嬉しそうな声が響く。琴音は、大きく広げられた彼の腕の中へと、勢いよく飛びついていった。
「祐一......」
私は立ち尽くしたままそう声をもらすと、琴音を抱きかかえた彼と目があった。
「あー、じゃあ僕たちは先に。」
「三人の時間、ちゃんと大切にしなよ?」
何かを察したように、気を遣ってそう言う二人。私は複雑な心境のまま小さく頷くと、ふぅーっと小さく息をはき、彼の方へと歩き出した。
会うのは、半年ぶり。
「わざわざ来なくてもいいって言ったのに。」
どんな顔をすればいいか分からず、私は少し困ったように微笑んだ。

