愛を孕む~御曹司の迸る激情~


 雲ひとつない空の下。挙式を終えた後のフラワーシャワー。チャペルから伸びる大きな階段を、タキシードとウェディングドレス姿の二人が、ゆっくりと降りてきた。


 それは、須崎くんと南。


「まさか、あの二人が結婚するとはねー。」

「付き合ってから急展開だったもんね。」

 1年前、二人は付き合い始めると、とんとん拍子に話は進み、結婚が決まるまで時間はかからなかった。


 大勢の人たちから祝福されている姿は、幸せを象徴するかのような光景。4年前、私がいたはずの場所だった。

 そう思うと、拍手を送りながらも少しだけそんな感情が邪魔をして、心をモヤっとさせた。

「次は、詩音の番じゃない?結婚。」

 すると、通り過ぎていく二人を見ながら、ニヤリと目配せをしてくるひな子。

 "結婚"

 頭の中で繰り返される言葉に、思わず口をつぐんだ。

「雪哉は去年ちゃっかり結婚してるし、私は当分無理だろうし。そしたら、次はねえ。ちょこちょこ会ってるんでしょ?」

 私は答えに困り、笑って誤魔化すしかなかった。

 あれから誰とも結婚せず、琴音のことだけを考えて生きてきた毎日。少しも結婚する未来を考えなかった訳ではないけど、正直あまり気は進まなかった。

「どうだろうね....」

 そう言ったまま、私は黙り込んだ。ただただその時は、頭の中で一人の人物を浮かべながら、遠くを見つめていた。