愛を孕む~御曹司の迸る激情~


 手紙を読みながら、自然と涙が溢れてきた。どこで道を間違えたんだろう。どうして、こんなことになってしまったんだろう。

 視線を落とすと通帳と印鑑が目に入り、なんだか虚しくなった。

 私は深く息を吐きながら、手紙をそっと紙袋の奥にしまいこみ、袋を閉じた。


「成宮さん、話しちゃったんだ....」

 結局、私からは子供のことを言い出せなかった。あれから何度か会うことはあったけど、やり直す気がないと言い続けているうちに、話すタイミングを失った。

 挙句、最後は慰謝料の話にまでなってしまい、到底言うことなんて出来なかった。

 でも、それで良かったと思っている自分もいて。これからのことを思ったら、会う理由はない方がいいと、そう思ったから。


 窓際で壁に寄りかかりながらボーッとしていると、いつの間にか懐かしい夢を見ていた。まだお母さんが生きている頃。

 小さかった私は、入院していた母のベッドに潜り込み、いつも絵本を読んでもらっていた。

 それは、最後に王子様とお姫様がお城で結婚式をあげて、幸せに暮らすというお話。その頃の私は、なぜかそこに出てくるゴーンゴーンと鳴る鐘が、無性に気になっていたようで。

 そのページになると、指をさして言っていた。