1週間の休暇も、今日で終わろうかという日。私は、海にいた。
「まさか、真冬の海に来るとは思わなかったなー。」
「ごめんごめん、やっぱ寒かった?」
「ううん、着込んでこいって言われたから。大丈夫。」
そんな会話をしながら、ダウンジャケットに首を埋めた。
私は今、須崎くんと一緒にいる。彼と会うのは、あの日以来。好きだと告白されて以来のことだった。
「ずっと引きこもってるって言ってたから。息抜きにでもなればなーって。」
休暇中、同期のみんなとは毎日のように連絡を取っていた。
みんな心配してくれて、生存確認をするかのようなメッセージが送られてくる。それに、どれだけ元気づけられていたか分からない。
「あ!」
すると、突然ハッとした表情で声を上げる須崎くん。
「妊婦の体に、海はまずかったかな....」
急に青ざめた顔をして、慌てたようにこちらを見た。思わずポカンとしてしまう私。今更のことで、なんだかおかしくなった。
「冷えると良くないし、車戻ろ。」
「あ、待って。」
私はクスクスと笑みをこぼしながら、そう言って彼を静止する。そして、綺麗な海を眺めながら、遠い目をした。
「もうちょっと。....もうちょっとだけここにいたい。」
波の音、砂浜の音、風の音。久しぶりに聞く自然の音に、なんだかとっても癒された。