「あ、そうそう。この前の同期会もこなかったじゃん?ここなら、仕事の鬼、成宮蒼もいないし。息抜きできるかなーって。」
須崎くんの優しさ。
きっと気づいているはずなのに、気になっているはずなのに、あえて深くは聞いてこない。聞き出そうともしてこない。ただ、隣でいつも通りにいてくれるだけ。
「はぁ....、須崎くんには敵わないなー。」
自然とそんな声が漏れていた。
「なんだよ急に。ほら、成宮さんと別れた時も一番話聞いてたの俺だし。同じ部署で働くことになっちゃって、その愚痴聞くのは俺が適任でしょ。」
須崎くんは、そう笑って誤魔化す。私は彼につられて笑顔を作りながら、諦めたように息を吐いた。
「もう、気づいてるんでしょ?」
すると、戸惑ったように表情を固め、危うく缶を落としそうになっていた。
「えっと.....」
「ごめんね?気遣わせて。」
私は安心させるように笑顔を見せると、彼は諦めたように何度か頷き、大きくため息をついた。
「俺、姉貴もいるんだけど、やたら酸っぱいものが食べたいってうるさい時期があって....」
「うん。」
「その時の感じと、今の蕪木がいろいろ似てるなとか重なってさ。いや、でも、俺が勝手に勘ぐっただけだから、別に....」
「須崎くん。私、妊娠してる。」

