愛を孕む~御曹司の迸る激情~


 その時、「ウッ.....」と急に襲ってきた吐き気。私は成宮さんの手を振り払い、慌ただしくトイレに駆け込んだ。


「本当に一人で育てる気か?」

 腕組みをしながら顔を曇らせる彼。

「大丈夫?」

「うん....」

 吐き気もおさまりトイレを出た瞬間、そんな彼の顔が目に飛び込んできた。しかし、私は何も言えず、スッと横を通り過ぎてソファに腰かけた。


 "育てる"

 改めて、その言葉の重みを感じている。


 胃のむかつき、吐き気。それは、いわゆる"つわり"だった。


 私は今、祐一との子供を妊娠している。



 今となっては元気な私も、この家に来た当初は何も喉を通らず、ずっと体がだるいと感じていた。きっと廃人のように見えていたと思う。

 でも、ストレスだろうと、妊娠しているなんて夢にも思わなかった。

 今思えば、柑橘系のものが急に欲しくなったり、今まで好きだったものが嫌いになっていたり、不自然なことは多かった。


 そんな時、何かに気づいたようにポロッと成宮さんが口にした言葉。

「あれ、きてんの?」

 一瞬思考が停止し、すぐにハッとした。


 最後に来たのはいつだろうか。月に一回、わりと正確にくる"あれ"。サーッと血の気が引いていくのが分かった。