世間は、クリスマス一色。イルミネーションの装飾が街中に施され、みんなどこか浮き足立っている頃。私は神妙な面持ちでバーの前に立っていた。
顔合わせの日から、2週間が経った。モヤモヤとしてはいるものの、祐一とはひとまず何事もなく過ごしてきた。
そして、あと2、3日もすればクリスマス。でも、私はそれどころではなかった。
今日は、例の話が聞ける日。この日をどれだけ待っていたか。そう思いながら待っていると、店の前に一台の車が止まった。
私は緊張気味に近づいていき、そして乗り込んだ。
「じゃあ、行くか。」
運転席には成宮さんが座り、そう言って早速ハンドルを握った。
あの日、電話をかけた相手は成宮さんだった。
祐一の不可解な行動から、どうしても"別の顔"と言った彼の言葉が気になって、居ても立っても居られなかった。でも、その時すぐには教えてくれず、話すなら今日だとなぜか日を改められた。
「どうして、今日だったんですか。」
私は助手席に座りながら、純粋な疑問をぶつけた。今日まで、会社では必要以上のことは話さずにきて、ましてや祐一の話題などもっての外だった。
だから、なぜ今日を指定されたのかも、今どこに向かっているのかも分からないまま、ただ車が止まる先を待っていた。
「着けばわかるよ。」
しかし、それ以上何も言う様子はなく、私は諦めて窓の外を眺めた。

