「そういえば悪かったね、前回は。」
祐一が戻ってこないか、まだかまだかと待っていた時、唐突にそう切り出したお父様。私は、なくなってしまった先日の顔合わせの話だと気づき、慌てて首を横に振った。
「いえいえ、お忙しいのは重々承知してますので。気になさらないでください。」
あの時は、祐一の不審な行動も重なり、すっぽかされたことに声を荒げてしまった。だけど、今思えば仕方がないこと。
お父様は、高瀬グループをまとめる社長という立場で、私たちのような一般社員とは違うのだ。突然都合がつかなくなることだって、あり得ないことじゃない。何万人という社員を抱えているのだから。
「いやー、忙しいとは言ってもなあ。」
「そうよ。私たちは楽しみにしてたのにねえ?」
すると、そう話し出す二人。話を聞いていると、なぜか他人事のように感じ、違和感を抱いた。
「あの、たしか前回は、お仕事の都合とかで.....」
思わず横からそう言いかけると、お父様がこちらを見て、呆れたように言った。
「ああ、そうなんだよ。祐一も困ったやつだ。」
祐一......
耳を疑い、頭が真っ白になった。それは、全く予想もしていなかった言葉。

