こんな大変な時に一人で呑気なことを言っていたら、成宮さんに何を言われるか分からない。笑って誤魔化しながら、私も手伝いをしようと動いた矢先、恐れていたことが起きた。
「蕪木っ。」
声のする方を見ると、怖い顔をした成宮さんがこちらを見ていた。
「はい.....。」
昨日からの気まずい状況の上に、怒られるなんてたまったものじゃない。私はそう思いながら身構えたが、状況は少し違っていた。
「今、なんて言った?」
「え?」
「今、個展がどーたらって言ってたろ。もう一回言って。」
突然立ち上がる成宮さんにつられて、周りにいた人たちもこちらに注目し、私は動揺を隠せなかった。それでも真っ直ぐ見てくる成宮さんの圧に負け、目を泳がせながらゆっくりと口を開いた。
「えっと、個展に行くぐらいファンなら、うちの商品も見たいと思ってくれるだろうし、良いターゲットだったなーと。」
私は思いつきで言った自分の言葉をなんとか思い出しながら、恐る恐る口にした。
すると、成宮さんは突然考え込むようにして顎に手を当てると、何かを確信し頷いた。
「いける気がする。」

