愛を孕む~御曹司の迸る激情~


 何も聞かずに側にいてくれる。こういう時、信頼できる同期がいるのは大きかった。ずっと思い悩んでいたけれど、須崎くんの声を聞いたら少し気が紛れた。


 私は気持ちを入れ替え、準備に集中しようとしたその時、何やらトラブルがあったようで、怒鳴るような声が聞こえてきた。

「なんだろ。」

「何かあったのかな?」

 私は須崎くんと顔を見合わせ、気になって声のしたステージ上へ向かうと、営業部の人たちが集まって何やら深刻そうな顔をしていた。


「成宮さん、どうかしたんですか。」

 すると、その中には成宮さんもいて、私とギクシャクしていることなど知らない須崎くんが、真っ先に声をかけた。

 一瞬私とも目が合い、気まずそうに顔を逸らすと、須崎くんに向かってこの状況を説明し始めた。




「集団食中毒っ!?」


 そして話を聞きながら、隣にいた私が大きな声を出して叫んでいた。

 成宮さんの話によると、試飲会に来るはずだった100名のツアー参加者が泊まったホテルで、昨日の夜食中毒騒ぎがあった。

 参加者の半数は病院に運ばれ、ツアーも中止。それを担当者が確認していなかったため、ツアー会社から連絡がくる今の今まで気づかなかったという。ホテルで食中毒があったというニュースは、朝からテレビやネットのニュースで持ちきり。

 私も目にはしていたけれど、まさかあのホテルに泊まっていたなんて。