「成宮さーん!ちょっと来てください!」
遠くの方からそう叫ぶ声がして、名前を聞いただけでビクッと反応している自分がいた。
ホテルをチェックアウトし会場に来てから、今日はまだ一度も成宮さんとは話せていなかった。顔を合わせても気まずくて、朝軽く挨拶をしたっきり、目があってもつい逸らしてしまう。それは彼の方も同じで......
仕事がやりづらくて仕方なかった。こうなるのが嫌だから食事に行ったはずなのに、私の行動は裏目に出た。
昨日の夜、私の部屋で起きたことは夢だと思いたい。無理やりキスをされ、襲われたような感覚。成宮さんは私にしたことを謝ると、すぐに部屋から出て行った。
でも私はしばらく呆然として動けず、涙がこぼれた。ショックだった。私の知ってる成宮さんは、あんなことする人じゃなかったから。
仕事仕事で放ったらかしていても、私を見てくれる時はいつも優しかった。嫌がる私にキスをしたり、強引に襲ったりするなんて、そんなことあり得ない。
「なんかあったら、相談のるから。」
私は誰にも言えないこの気持ちを抱えながら、須崎くんの言葉に頷いた。彼の優しさは、今の私にとって救いだった。
「うん、ありがとう。本当に昨日はごめんね。」
「ううん、気にすんな。」

