「須崎、イベント何時から?」

「3時開場です。」

「よし、じゃあ余裕だな。」

 新大阪駅へ向かう新幹線の車内。後ろの席からは、淡々としたそんな会話が聞こえてきた。

 足を組みながら書類に目を通す成宮さんと、タブレット片手にそう言う須崎くん。


 私が今、どうしてこんな状況になっているのかというと。それは、1週間前に遡る。


------------ーーーー


 季節は、秋。11月に入り、葉も赤く色づいてきた頃。

「蕪木、ちょっと。」

「はい。」

 いつも通り新規事業部で仕事をしていると、突然成宮さんに呼ばれ、彼のデスクに行った。

 すると、私の目をじっと見ながら苦笑いを浮かべる成宮さん。

「仕事、順調??」

 唐突にそう言ってきた。

「え?あ、はい。」

「今、緊急で抱えてるのとかは?」

「いえ、特には....」

 私は要点のつかめない話に戸惑い首を傾げると、頭をかきながら言いづらそうに言った。

「うーん。そしたらさあ....」

 そして、その後に続いた言葉に私は衝撃を受けた。