そして、おもむろに財布から紙を出して私に差し出す。


「髪、切りたくなったら来てください。クーポン券です。ここから、そう離れてないので、良ければ」


「わあ、ありがとうございます。いいんですか、貰っても」


「ええ、どうぞ。………俺そろそろ仕事に戻らないと」



 相馬さんは腰を上げて、伸びをする。



「頑張ってくださいね」私は彼を元気づけるように笑った。



「ごめんね三春さん。引き止めちゃって」


「いえいえ」


「また来るよ。ばあちゃんのこと宜しく」



 手をひらひらさせる相馬さんの背中を見送る。




 そんなこんなで、私はお昼を食べ損なうことも、しばしばある。




相馬さんと同じようにうーんと伸びをして、凝った肩を解した。