「2組なら、化学の先生は沢野先生よね?」 「そうだけど……?」 シュウさんも、化学の担当は沢野先生だったと言っていた。モノマネが通じたのだから、間違いなく同じ先生のはずだ。 だけど、それはありえないのだ。 「2組の化学は、今年赴任してきた、沢野先生」 10年近く前に東高を卒業したシュウさんが、沢野先生の授業を受けていたはずがない。 「保科くん、ちょっと左手貸して」 私は保科くんの返事を聞く前に彼の左手をとり、躊躇なく袖をめくった。