許嫁の彼




でも、そんなことは一度もなかった。



小学校の運動会も。文化発表会も。授業参観も。



見に来てはくれなかった。



2人は仕事が忙しいから、来られないんだ。



大丈夫、嫌ってなんかない。



そう思って安心するようにしていた。



中学生になっても、相変わらず見に来てくれなかった。



体育祭で優勝しても。合唱コンクールで金賞を取っても。


褒めてはくれない。


極め付けは中学3年生。



色々あって、転校する羽目になった。



2人は、私たちが悪いと言った。



私は唇を噛みしめるばっかりで、何も言えなかった。



でもそれは、空芽も同じだった。