許嫁の彼




知りたくないよ‥‥‥知っちゃったらもう私、きっと耐えられないし。



私は、強くなんてないから。



「空芽が、私のこと、好きになればいいのに‥‥‥」



ふっと呟いた言葉は、部屋の闇に溶けていった。



誰か、私を、私自身を愛してくれる人が欲しい。



私が泣いていても、私が出来損ないで、テストで赤点を取っても、


「頑張ったね」って褒めてくれる人が、優しく包み込んでくれる人が欲しい。



‥‥‥お母様たちは、そうではないから。