許嫁の彼




「‥‥出て‥‥て‥‥」



「ん?」



「統来くん、早く出てって!」



私は統来くんを押し出す。



「今日はもう、放っておいて」



私の頰は、濡れていた。



統来くんには‥‥‥誰にも知られたくない。



だってきっと、空芽はあたしのこと、妹としか思っていないから‥‥‥。



「俺なら知ってるよ、空芽の好きな人」



まだ話しかけてくる統来くん。



「放っておいてって言ったじゃん!


話しかけてこないで!


自分の部屋に行って!北条!」



キレて大きな声で言うと、北条は何も言わずに去っていった。