なあ春桜、なにに悩んでるんだ?



‥‥‥好きなやつ、いるのか?



俺は部屋の端まで歩いて、壁に向かって拳を打ち付けた。



春桜の部屋の、壁を。



‥‥俺のこと、好きになればいいのに。



早く、早く。



もう一度、拳を打ちつけようとした手を止めた。




どうしようもなくなった拳は、ずっと握り続けていた。