許嫁の彼




終わった後、私に向かって親指を立てて、嬉しそうに笑った。



私も同じように、親指を立てて、笑い返した。



「ひゅー!聖兄妹、無言の会話」



茉子が私にしか聞こえないくらいの声で言った。



「何、あの子。図々しい」



空芽のファンクラブの1年生が、私に向かって牙を立てた。



それを察した百合花が、その子たちに聞こえるように言った。



「いいなー!空芽くんと兄妹で!羨ましい!」



それを聞いた子たちは、なんだ、と口々に言い出した。