許嫁の彼




「茉子お願い!北条と抑えて!あたし多賀さんやるから!」



「‥‥はいはい」



呆れたような顔をして、茉子の方に歩いていく。



「走れバカ——!!」



そう私が叫ぶと少し飛び上がって走り出す。



「痛くない?大丈夫?」



「はい。ありがとう」



「‥‥他人行儀。敬語使わなくていいのに」



そうぽろっと言うと、驚いたような顔をする。



「じゃあ春桜さんも下の名前で呼んでください」



くすくす笑いながら言う。



「消毒しよう。茉子は空芽と北条に任せよう。入ろう、‥‥百合花」