許嫁の彼




「もー無理っ!あたしもう入らないっ!」




「‥‥まあ、茉子さんにしては頑張りましたね。時間置いた方が出来ますし」



「「‥‥ええっ!またやるの‥‥っ!?」」



私と茉子の声がハモる。



「‥‥あたし!逃げる!」



「こら茉子っ!」



バンッとドアをこじ開け、廊下に飛び出す。



「「待てっ!」」



急いで追いかける私たち。



茉子は陸上部の期待の星。



足早いっ!



インドア派vs陸上部!?



追いつけないよっ!



———と、茉子の逃げる先に、空芽が!



「空芽っ!茉子を止めてっ!」



突然名を呼ばれた空芽はビクッとして茉子を見る。



少し怯えたあと、両手を広げる。