「だから、俺より上いくなって……っ、バカ」


コツンとおでこを指で弾かれた。

……全然痛くない。



「ホントのことだもん……っ」



私の見間違えじゃなければ、今白坂くんは、悔しそうに照れた顔をした。


そんな顔を見れて、なんだか嬉しいようなくすぐったいような気持ちになる。



「あ、暑いね………っ」


「夏だからな」


「……違うよ! 白坂くんのせいだよっ」


「は。俺からすればお前のせいだから……」



暑さをお互いのせいにして擦り付け合う。


それがおかしくて、私と白坂くんは顔を見合わせると、クスクス笑い合っていた。



──誰も手の届かない場所で、


こんな優しい時間がずっと続くといいのに。