「白坂くんとはクラスメイトでして……」



この人の目を直視出来ず、どうしてか身構えてしまう。



「手を煩わせて申し訳ないけど、言付けを頼まれてくれないかしら」


「は、はい……」



白坂くんへの伝言……。

それだけなら恐れることはない、と私はゴクリと固唾を飲んだ。



「地獄を見たくなければ、至急わたしに頭を下げに来い、と」


「……っ!!」


「逃げ回るのは終わりにしましょう?って」



刺すような笑みと、託されたその言葉に血の気が引いてく。


女性は「またね」と、意味深な台詞を吐くと、路肩につけた黒塗りの車の後部座席へと乗り込み姿を消した。


えっ、アレは、あの夜に見た車……?


発進した車が見えなくなるまで目で追いかけた。

今の黒塗りの車が、以前に見た物と同じかまではわからない。


それに、なぜだか女性は私の名前を知っていたことに狼狽える他ない。


頭を下げに来いってことは、あの剣崎という男の仲間なのかもしれないって考えが過ぎる。



白坂くんはこのままで大丈夫なの……?


この先のことを考えると、たまらなく嫌な予感しかしなかった。