土方side




「ぐはぁ……っ!!」



俺の拳を食らって吹き飛んだ男は、襖の先まで体を倒した。



「人の女に何してんだクソ野郎」


「なんでここが分かった…っ」



もう半分気絶していそうな面持ちだったが、それでも俺は詰め寄るように男の胸ぐらを掴み、あえて立たせる。



「立て。こいつの痛みはこんなモンじゃねえはずだ」



明らかに今の俺はどこからどう見ても鬼の副長だった。

懐かしい感覚がピリリと体に迸る。


隣には近藤さんがいて総司がいて、何人もの隊士の先頭を切っていた。



「僕は彼女を愛してるんだよ…!!」


「ほう。どれくらいだ」


「そ、そんなの表せないくらいに決まってるだろ…!」



やべえ…怒りが収まりゃしねえ。


こんな尋問をしている余裕など実際は無いのだが、どうせ殺す命だ。

昔しょっちゅう拷問をしていた感覚に似ているのかもしれない。



「てめえはこいつの為なら刀に自ら突っ込めるか?」


「なっ、なに言って…」


「答えろ」


「で、出来るに決まってるだろ…!!」