「よしっ」



北の大地の冬は雪が多いけれど、それ以外は晴れた過ごしやすい気候の続く場所だった。

前のような台風の日は幾年に1度と言われるくらいで、今日も晴れ晴れとした空。


お洗濯ものを干し終わって一息吐いたところで、ザッザッと誰かの影が近づいてくる。



「すまない、この辺りに土方 歳三という男は住んでいないか」


「………」



思わずフリーズしてしまった。

全身が硬直した。


私に聞いてきたその男を前にしたとき、全身を迸る危機感の前に嬉しさと喜びが沸き上がって。



「さ……斎藤さん…!」


「…俺のことを知っているのか?物覚えは良い方なのだが…」



黒で統一された洋服姿は、いつかの誰かを思い出させた。

しかしトレンチコートではなく、動きやすそうな軍服といったところ。


官帽を被った男は間違いなく、新撰組三番組組長であった───斎藤 一だった。



「……あんた、もしかして時折 梓の知り合いか?」


「えっ、」



じっと私を見つめた斎藤さんは「かつての俺の仲間に似ている」と、続けた。