ポンポンと飛んで行ってしまう毬を追いかける私は、袴姿。

髪だって短くて、今より幼い顔立ちと低い身長が水溜まりに反射している。



『下手くそ!なんなんそれ!』



そうは言われても私なりに頑張ってるのに…。

数人の子供達に笑われてムキになって、でも楽しくて。

だってみんな笑ってるから。



『梓、新撰組は楽しいん?お前なんか斬られるんちゃうか?』



そんなことないよ。

優しいお兄ちゃん達に囲まれてる毎日で、すっごくすっごく楽しいんだよ。

確かに土方さんは怖いときもあるけど…でもそれは私のことが嫌いでそうしてるんじゃないって分かるから。



『じゃあ…俺のことは嫌いやったんやな』



───…え…?


目の前の少年はぐんぐん身長が伸びて、上質な着物から地味な袴姿へと変わった。

声も低くなって体つきも男の子に変貌して。


朔太郎は、冷たい眼差しを送った。



『なんで助けてくれんかったん?俺、怖かった……痛かったんや…!!』



血と、泥と、銃声。

そんな中で過ごす毎日は戦争の最中だった。