だってまた家を出たら、今度こそもうお父さんもお母さんも許してくれないもの。



そりゃ同棲はしたいけど、親の有り難みを痛いほど理解した今は、もう両親を裏切ったり出来ないよ。



私の考えも少しは大人になったのかな?




これも全部…

礼羽のおかげだよね。





「…今、元彼の事考えてただろ」



イジけたように呟く翔介の声で、ハッと我に返った。




「どうしたら俺は元彼に勝てるの?どうしたらメイサは俺だけを想ってくれるの?」

「ショウスケ?」



何だか今一瞬、翔介に自分が重なって見えた。




『私はユウキさんに勝ちたい』


『四六時中、礼羽が想う人は私であって欲しい』



そう願っていた私に見えた。




だったら

そんな事を想わせてしまったことに傷付いてる私は礼羽?




「ショウスケ、私はね…」



弁解しようとしたら、それを遮るかのように翔介は唇を重ねてきた。



初めて翔介とした時のキスとは違う、強引で激しいキス。




「…ちょっと…ショウスケ…!苦しいよっ」



一瞬、口を離してくれたと思ったら再び口を塞がれた。


今度は舌まで押し込まれて、本当に息が出来ない。




「メイサは俺の彼女でしょ。…今はもう元彼のものじゃない」



翔介は唇を離すと、切なそうな表情を浮かべ私を床に押し倒した。


フローリングの冷たさが体から体温を奪う。




「大好きだよ、メイサ」



翔介はそう言うと、私の服のボタンに手をかけた。




私も翔介が……



好き。




だから恐くはない。




翔介はキスをしながら、ゆっくり服を脱がしていく。



口を離し、露わになった上半身に優しく口付けをする翔介の髪が鼻を掠めた時


私は生まれて初めて抱かれた日の事を思い出した。