近藤さんの背中に初めておぶられたそいつを見たとき。

目に光などなく、その瞳が何を捉えているのか、なにも感じなかった。


死んでいる、なんて言ってたけどよ。

お前は今、生きてんじゃねえか。


それでまた1つ新しい命を救った。



「今日の酒の肴は梓の話で決まりだな」


「ああ!オレも酒呑むよ!」


「よし平助!梓!俺の腹踊りを見せてやろう!」



そんな中、ずっと端に座って笑うこともしないで一点を見つめる男が1人。


こいつは昔から本当に変わらねえ。


自分だけだと思っていたものが皆に取られたと感じたとき、こうして輪から外れようとする。

近藤さんを取られて拗ねてたガキのまんまだ。



「お前のおかげだぞ総司。あいつが笑ってんのは」


「…わかってますよ。ただ、面白くないだけです」



僕はもっと前から知ってたんですから───。

そう言って部屋を出て行った。