「お前……!」



平助は驚きを隠せないように今の見たか?と、落ち着かない様子で周りをキョロキョロ見つめた。



「こいつ笑ったぞ!!なぁ新八(しんぱち)さん!佐之(さの)さん!!」


「おぉ!!」



スッと、表情は戻ることなく。

その雀が動いて、歩こうとして、羽ばたこうとする度に高らかな声は俺達を包み込んだ。



「梓、今日は友達と何をして遊んだんだ?」



嬉しさを隠せられないのか近藤さんは涙目。

そんな近藤さんの言葉に、どこか違和感があったように首を傾けた。



「…友達…?」


「あぁ、友達だろう?いつも楽しそうに出掛けて帰ってくるじゃないか」



違う、近藤さん。
友達かどうかを確かめてるんじゃない。

こいつは今、一生懸命に友達という言葉を理解しているのだ。


それで初めて意味がわかる。



「友達…!」



ぱぁっと、笑顔がまた咲いた。


まるで言葉を話せるようになった赤子みたいだった。

最初は自分から話すことなど滅多にしなかったと言うのに。