土方さんの握り締めていた紙には全て近藤さんの無罪、そして解放を求める内容がびっしりと書かれていた。

土方さんの達筆な文字で何枚も何枚も。


それはつまり───近藤さんは新政府軍に捕まったということ。



「土方さん、体はもう大丈夫なの…?」


「休んでる暇なんかねえんだよ。俺が一番そうしちゃならねえだろ」



やりきれない思いは空へと消えてはくれない。

だからこそ、処刑にならないことを祈るばかりだった。


それしか出来ないのに…。



「…私、江戸へ行く」



目を覚ました土方さんは「3日無駄にした」と、すぐに机に向かった。


そんな姿は鬼の副長と何も変わっていない。

こんなところにも思い出は落ちている。
もう、それも過去になってしまったけど。



「早くて明日…いや、今日にはここを立とうと思ってるよ」



噂によれば近藤さんが捕縛されている場所は江戸だと言う。



「…行ってどうなる」


「私があの人の娘と言って話をさせてもらう」


「無駄だ」