『そうか』



龍の何を考えているのかよくわからない返事が聞こえる。


もうすぐ2度目を初めて1年になる。
穏やかで私が忘れていたいろいろなものを取り戻し、思い出せた1年が終わる。

春になり、進級する時、姫巫女は我が学校に迎え入れられた。
そして私にとっての悲劇が始まった。

1度目と同じならもうすぐその悲劇が始まる。
私が独りになる可能性がもうすぐそこまで来ている。


もしも姫巫女が見つからなければ。
そうしたら平穏で幸せな未来を手に入れられるかもしれない。



『紅、アナタが独りになるシナリオなんてありません。ですがそれと同じように春になっても姫巫女が現れないというシナリオもないのですよ』



淡い希望を抱いているといつものように急に神様が私に語りかけてきた。


そうだよね。


私は独りにはならない。
だけどあの姫巫女は私の前に必ず現れる。

楽観視している場合ではない。
神様がそうだというのだからそうなのだ。


あと何回こんな穏やかな日々を過ごせるのだろうか。

今日見てきた朱、武、琥珀、蒼の嬉しそうな表情を思い浮かべる。

私はこの表情を失いたくないと強く思った。


もうすぐ姫巫女がこの学校へやって来る。
どんな形でも必ず。






2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
2022.5 end