愛は惜しみなく与う⑤

「大丈夫です。お母様も…私のためにありがとうございます」


笑えたかな
どうやろな
どんな顔してたやろ


「…体調が悪そうね。お部屋で休む?」

「……そうですね。そうします。お母様、時間を作ってくださったのに、申し訳ありません」


今できる最大限の笑顔で母上を見れば、にこりと微笑んでくれた

ここで乱されたらあかん


あたしは…母上のことも守るためにこうしてるんや。
ここで全部バレたら…サトルが母上に、何か言ってしまえば…全てが終わる


「冬馬さん。留学中のお土産があるんです。お部屋に来てください」


「勿論」


サトルは口調を変え、声のトーンを変え
あたしの後をついてきた



振り向いて顔面を何発も殴ってやりたい。
こいつが鈴にしたように…

原型なくなるまで殴り続けてやろうかと、何回思ったか


部屋につき、ガチャリと鍵がかかる音がした。

部屋の外ではない。サトルが部屋に入り鍵をかけた


異質や

鈴の部屋にあたしとサトルがいるなんて