あぁ
ほんまにこいつはサトルや
目の前であたしを見て笑う男は、ずっと探し続けていたサトルや
間違いない
冷静?そんなんなってられへん
すぐ近くにあった本を放り投げて、避けたところに殴りかかる
サトルはバランスを崩しながらも、あたしの拳を受け止めて言った
「何がどうなってるか聞かなくていいのか?」
まとわりつくような視線
トラウマにもなったその表情は、あたしの鼓動を速くさせた
「急ぐなよ。これから時間は山ほどあるんだから」
顎を掴まれ無理矢理視線を合わせられる
あたしの目に映るサトルは、見たこともないくらい、嬉しそうな顔をしていた
「お前はもう、俺のものだ」
サトルがそういった瞬間、息が苦しくなった
や、ばい
冷静なふりをしてサトルに飛びかかったはよかったけど。パニック状態なのは、抑えれへんかった。
身体は…心は…限界やった
苦しい
過呼吸
久しぶりのこの感覚
息を吸おうとしても、酸素が入ってこない。二酸化炭素だけを吸って、そして吐けない。そんな感じ
苦しい



