あたしに真っ白のハンカチを渡してきて、母上から冬馬さんと呼ばれて…
この部屋に入ってきた、あたしの婚約者である如月冬馬の姿は
あたしの忌々しき復讐相手の
サトルだった
あたしと同じように黒髪になってるサトル。でも、この顔をあたしは忘れへん
忘れるわけがない
母上がこの場にいることも忘れてた
全て頭から飛んだ
ガッと手を伸ばしたが、サトルにその手を取られる
「元気そうでなによりです」
力一杯伸ばした手を、サトルは片手で簡単に止めて、目の前で笑った
どういうこと?
何がどうなってるん?
変な夢でも見てるんか?
何でずっと探してたサトルが、今目の前におるん?
「お母様、鈴さんが少し怪我をしたみたいで」
「あ、分かったわ。ドクターを呼んでくるわ」
こんな時も大袈裟な母上は、部屋から出て行ってしまう
待って
こんなところに置いていかんといて
「お母様!!!」
あたしの声はどんな声やったんやろうか。振り返った母上は、驚いた顔をして、心配そうな顔で近づいてきた



